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大阪地方裁判所 昭和45年(ヨ)1284号 判決 1974年4月19日

申請人 佐渡正昭

被申請人 日本電信電話公社

訴訟代理人 陶山博生 外五名

主文

本件仮処分申請を却下する。

申請費用は申請人の負担とする。

事  実 <省略>

理由

一  申請人が被申請人の職員として大阪中央電報局電話託送部電話通信課に勤務していたところ、被申請人が昭和四四年一〇月二一日付で申請人を公社法三三条、就業規則五九条を適用して懲戒免職処分に付したことは当事者間に争いがない。

二  そこで、本件懲戒免職処分の効力について判断する。

(一)  まず右懲戒免職処分の対象となつた処分事由の存在について検討するに、申請人が大阪中電〔編注:大阪中央電報局及び同一局舎内の大阪電信施設所の略称〕の局所内で座込み、演説、火炎ビン投下等の行為をしたことは申請人の自認するところであり、更に、<証拠省略>ならびに弁論の全趣旨を総合すると、次のとおりの事実が一応認められる。

1  申請人は、昭和三五年四月公社に採用されて後被申請人の職員で組織する全国電気通信労働組合(以下全電通労組と略称する)に加入し、その下部組織で被申請人の大阪中央電報局および大阪電信施設所に勤務する職員で組織する全電通労組近畿地方本部大阪電信支部(昭和四六年組織改編により大阪中央支部と改称、以下電信支部と略称する)に所属し、昭和三六年以降電信支部の支部委員その他の組合員に職場から選出されて活発な組合活動を行なつていた。この間昭和四〇年に社会党、総評が中心となり、ベトナム戦争反対、日韓条約批准阻止その他反戦のための積極的政治活動を標榜する反戦青年委員会が結成され、その組織として、当初は全国反戦(労働団体の団体加盟)の下に地区反戦(団体、個人加盟併用)がおかれた。全電通労組も全国反戦の結成に際して主要な加盟団体として名を連ね、下部組織にも地区反戦に加盟するよう指導し、その結果、電信支部の中にも青年部を中心として電信反戦行動委員会(以下電信反戦と略称する)が結成され、多数の大阪中電職員がその構成員として加入し、次いで電信反戦を母体として全電通労組の北大阪地区の各支部が中心となつて北大阪反戦青年委員会が発足したのであるが、申請人もつとに反戦青年委員会の思想、行動に共鳴して、電信反戦に加入したものである。反戦青年委員会は、日韓条約の可決後も、ベトナム反戦その他の政治スローガンをかかげ、活発な反戦活動を展開し、電信反戦も多くの闘争に積極的に参加していたが、その後反戦青年委員会は次第に総評等の上部組織の統制に従わなくなり、同委員会の一部グループは街頭における暴行、投石、その他過激な行動に出るようになつた。このような過激行動に対して、全電通労組は、昭和四四年七月に開催した第二二回定期全国大会において、その組合員が主要な構成員となつている反戦青年委員会の政治活動につき、規律を尊重した秩序あるもの以外の闘争手段は容認せず、特に暴力的物理的な職場占拠等の破壊行動は絶対に認めないとの態度を決定した。

2  しかるに、申請人らは、当時の政治状勢の推移をみて、昭和四五年のいわゆる日米安全保障条約の改定期を控えて我国の政治状況が戦争への危機をはらむ帝国主義化の傾向を示し、公社を含む国家の中枢機構および重要生産拠点において右政治状況に呼応した形での管理体制の強化がおこなわれ、労働者の反戦活動を禁圧しようとしているとして、公社の管理体制に強い危惧と反発をいだき、このような社会状況下での管理体制の体質を暴力性を帯びたものと観念した結果、全電通労組の前記のごとき政治行動方針をあきたらなく思い、政治状況を変革するために、労働者が従来の街頭闘争とならんで、重要産業の生産点でも積極的に強力な反戦活動を行なうことが必要であると考えるに至つた。そして、電信反戦の活動を昭和四四年一一月いわゆる沖縄返還交渉のため訪米することになつた佐藤首相の訪米阻止を目的とする同年一〇月二一日の国際反戦デーに向けて推進し、その行動目標を、関西地方の電気通信網の重要拠点である大阪中電の施設を物理的暴力的に占拠し業務機構を混乱麻痺させ公社の管理体制の制圧をめざす政治闘争におくこととし、同時に大阪中電の職員に対して右闘争の正当性を訴え、これに自発的に参加するよう呼びかけることにした。而して申請人らは、右のような政治闘争を「大阪中電マツセンスト」〔編注:マツセンストとは「大衆ストライキ」と解釈され、賃上げなど個別的な要求に限定されることなく資本主義体制の解体を意図した攻撃的ストであつて、安定した社会のストでなく革命的な激動期のストである、と説明されている。〕と呼称し、その目的達成のため、このような過激な闘争戦術に反対を表明した電信反戦の多数派と袂を分かち、同年九月一一日電信反戦の少数派および反戦青年委員会に属する外部反戦グループとともに右闘争の組織として「大阪中電ストライキ実行委員会」なるものを結成した。

3  「大阪中電ストライキ実行委員会」は、九月二〇日以降連日活発な行動を開始し、同委員会に所属する大阪中電職員および外部反戦グループの数名において、大阪中電局舎前において同局職員に対し「大阪中電マツセンスト」の正当性を訴えるビラを多数配布し、同月三〇日以降は局舎七階の職員食堂に赤ヘルメツトを着用して現われ、昼食中の同局職員に対して携帯マイクを使用して「大阪中電マツセンスト」への参加を呼びかけるアジ演説を継続して行ない、右無許可の演説行為に対して局所管理規程に基づきこれを中止させようとした大阪中電の管理職員の制止をきき入れなかつた。同委員会は一〇月二日食堂におけるアジ演説で翌三日から「大阪中電マツセンスト」に突入する旨の宣言を行ない、このため大阪中電当局は特に厳重な警戒体制をしいたが、その監視の目をくぐつて、二日深夜から三日早朝にかけて局舎外周および道路向いの防潮堤に「佐藤訪米阻止、中電スト貫徹」等のスローガンをペンキで大書した。そして一〇月三日は同委員会に所属する中電職員桑畑正信、同大前弘志および元同局職員川村忠孝が中心となり、午前九時頃から大阪中電正面玄関横において「中電マツセンスト、北大阪制圧」等と記載した立看板を立て、赤ヘルメツトを着用して、外部の反戦グループを混じえ、無許可で座り込みを行ない、また携帯マイクによるアジ演説をした。これらの参加者中には、勤務時間中にもかかわらず、公社の業務命令を無視して職場を離脱したものもあり、電信支部の組合役員による座込み中止の説得にも従わず、また大阪中電当局の中止命令、退去命令にもかかわらず解散しなかつたため、同委員会の右行動は「山猫スト」として新聞、テレビ等で広く世間に報道された。

ところで申請人は、一〇月三日以降の「大阪中電マツセント」に参加し、三日午前九時一三分頃から九時三七分頃までおよび午後零時一六分頃から零時五二分頃まで大阪中電玄関前の座込みに加わつたほか、午前一一時五三分頃から前記桑原とともに赤ヘルメツトを着用して職員食堂に入り、昼食中の職員に対し、無許可で、携帯マイクを使用して約一六分間「大阪中電マツセンスト」への参加を呼びかけるアジ演説を行ない、翌四日は同局舎七階エレベーター前ホールで午前一一時四〇分頃から午後零時五分頃までおよび午後零時一五分頃から零時二三分頃まで座込みを行なつたほか、当局の制止を突破して午後零時五分頃食堂に入室し約一〇分間前同様のアジ演説を強行し、それ以後同月二〇日まで、「大阪中電ストライキ実行委員会」の中心となつて連日のごとく正午頃に食堂におけるアジ演説をつづけ、同月七日には右演説を阻止しようとした当局管理職員に対し「(一〇月)二一日は首を洗つて待つておれ」と威迫するなどした。

4  全電通労組は、この頃、定期全国大会の決定に基づき一一月一三日に予定していたところの佐藤首相の訪米反対のための統一行動の体制確立に全力を傾倒していたが、一〇月初旬「大阪中電マツセンスト」の意図を評価分析して、このストは全電通労組の組織統制を乱し、外部の勢力を動員して職場に物理的な混乱をおこし、かつ公社の業務を阻害しようとするものであり、当局に職場の秩序、施設等の安全維持と称して全電通労組の運動に不当介入する口実を与え、一一月一三日の統一行動に向けての体制確立を妨害する利敵行為であるとの公式見解を表明した。そして、一〇月六日以降、全電通近畿地方本部傘下の各支部役員を動員して、「大阪中電ストライキ実行委員会」のメンバーに対し、ビラあるいは口頭で「大阪中電マツセンスト」を中止するよう説得するとともに、これに参加している申請人ら全電通労組の組合員に対し「大阪中電マツセンスト」を続行するときは断固たる組織統制権を行使すると警告したが、申請人らはこれに応じなかつた(なお、全電通労組は申請人に対する本件懲戒免職処分に対し抗議活動をとらず、また犠牲者扶助規定による救済を拒否している)。

5  これらの情況から、公社においては大阪中電の電気通信施設の機能が混乱するような事態が万一にも発生することを憂慮し、局舎への乱入、機械室の占拠ならびに火炎びん等の爆発物による局舎重要施設の損壊等の有事に備えて、通信の確保と職員の安全のための局舎防衛措置をとつた。すなわち、九月一五日以降一〇月二〇日にかけて、局舎外周の防護網の取付、電力室、通信室等重要部門の鉄扉のカンヌキによる補強、非常階段の閉鎖設備、非常ベルの増設ならびに消火器の増備等の防護設備を施すとともに、大阪中電の管理職員を中心に近畿電気通信局管内の管理職員の応援をえて局舎警備体制を備え、入局に際して職員証を呈示させることの徹底、危険物の隠匿および局舎乱入を事前に探知するための局舎の点検および警戒、あるいは「大阪中電マツセンスト」を指揮する申請人を含む大阪中電職員の局内での行動の監視など、可能なかぎりの施設防禦対策を講じた。

6  しかるところ公社は、一〇月一四日、前記桑畑正信、大前弘志の両名に対し、公社の正常な運営を妨げ、また公社の秩序を著しく乱す行為をしたものとして懲戒免職処分をした。ところが、同月一七日、右桑畑、大前の両名は退職手続の説明を受けたいとの申出をして大阪中電局舎に入局し、同局労務課の交渉室において管理職員の説明を受けていた際、一瞬のすきをついて机を押して管理職員を入口の方に押しやり、折たたみ椅子を振り上げるなどして管理職員を退室させ、同室をパリケード封鎖したうえ、窓から「中電マツセンスト貫徹」、「労務封鎖中」等と書いた懸垂幕をつるし、ガラス窓に吹付ラツカーで「中電解体」の文字を書くなどの行為をおこない、この事件は「大阪中電ストライキ実行委員会」のメンバーによる同局施設占拠事件として新聞等に大きく報道された。

7  前記大阪中電労務課封鎖事件の発生によつて公社施設を攻撃目標とすることを喧伝していた「大阪中電マツセンスト」の過激な性向が一般に強く認識され、一〇月二一日の国際反戦デーを前にして緊張が高まつたが、申請人は、一〇月二〇日大阪中電の職員に対し国際反戦デーにおける「大阪中電マツセンスト」への参加を呼びかけようと企図し、ひとりで、同日午前一一時五五分頃、前記職員食堂に赴き、食事中の同局職員に対し「大阪中電マツセンスト」貫徹に関するアジ演説を行なつた後、右職員に対し局舎屋上での討論集会に参加するよう呼びかけて屋上に上つた。屋上では大阪中電の管理職員が申請人の非違行為を規制しようと警戒していたが、申請人は、クーリングタワー(塔屋)上でアジ演説などをする目的をもつて、午後零時二〇分頃、赤色ヘルメツトを被り、垂れ幕などを携えたうえ、もし右管理者側において右行為を制止しようとする場合にはこれを排除するため火炎びん三本を所持して右クーリングタワーに上り、座り込んだ。これに対して、約一〇名の管理職員がクーリングタワーの階段下から申請人にクーリングタワーを降りて勤務につくよう呼びかけたが、申請人はこれを無視し、午後零時三五分頃、所携のバツグから「中電マツセンスト貫徹」などと書かれた横幕と赤旗を取り出し、これを手すりに懸垂しようとしたので、これを制止すべく前記管理職員がクーリングタワーの階段を上りかけたところ、申請人は階段上から前記火炎びんを振り上げ、「上つてきたら投げるぞ」などと叫び、管理職員を威迫してかけ降りさせた。そして申請人は、前記赤旗および横断幕を懸垂し、右火炎びんを所持したまま携帯マイクによるアジ演説を行なつた後、午後零時五〇分頃、なお屋上にいた管理職員に対し「管理者に警告する」と叫んで、屋上に火炎びん一本を投てきし、炎上させた。

申請人はその直後当日の行為が建造物不法侵入等に当るものとして警察官に現行犯逮捕され、右出来事は直ちに新聞等で広く報道された。

以上の事実が疎明され、他に右認定を左右するに足りる疎明はない。

(二)  そこで申請人の行為が被申請人の就業規則所定の懲戒事由に該当するかどうかについて検討する。

1  申請人の行動は、多岐にわたるが、就中、一〇月二〇日大阪中電局舎のクーリングタワーを不法占拠し、同局管理職員に対し火炎びんを振り上げて脅迫し、かつ火炎びんを投てきした行為は、その動機目的の如何にかかわらず、客観的に著しく相当性を欠き、法治国家として到底許し難い暴力的行為であり、反社会性の極めて高度なものといわざるを得ない(因みに、前掲<証拠省略>によると、申請人は右行為が建造物侵入暴力行為等処罰に関する法律違反に該当するとして起訴され、昭和四七年五月二五日大阪地方裁判所において懲役四月、執行猶予一年の有罪判決を宣告されたことが認められる。)。そして、この行為は、「大阪中電ストライキ実行委員会」が計画した大阪中電における過激な闘争の一環であることが明らかであり、申請人の行為の職場秩序あるいは公社職員の信用等に与える影響を正しく判断するには前認定のような一連の背景的事実を考慮に入れざるを得ないところである。

2  本件懲戒処分当時適用されていた被申請人公社の就業規則五条四項に「職員は、局所内においてみだりに火器その他の危険物を所持し、または使用してはならない。」と、同条八項に「職員は、局所内において風紀秩序を乱すような言動をしてはならない。」と規定があること、また職員に対する懲戒事由を定めた五九条にはその七号に「職員としての品位を傷つけ、または信用を失うような非行があつたとき」と、その一八号に「第五条の規定に違反したとき」とそれぞれ規定されていることは当事者間に争いがない。

ところで、被申請人は、公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備および拡充を促進し、ならびに電気通信による国民の利便を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的として設立された企業(公社法一条)、その資本金は全額政府が出資している公法上の法人であり(同法五条、二条)、公衆電気通信事業は現代における国家社会の神経系統にも比すべき極めて高度の公共性を有する業務であつて、その業務の機能が停廃した場合には、直ちに国民生活全体の混乱ないし麻痺を招来し、国民生活に重大な障害をもたらすものであることは多言を要しない。それゆえに、法は被申請人の職員に対し法令および公社が定める業務上の規程に従い、全力を挙げてその職務の遂行に専念すべきことを命じ(同法三四条)、職員が国民全体の奉仕者として公社の事業に従事すべきことを要請し、また罰則の適用に関しては公務に従事する者とみなしている(同法三五条、一八条)のであつて、公社職員に対し、職務遂行上国家公務員に近い程度の公正、誠実性を要求しているものということができる。したがつて公社の職員は、職務遂行の誠実性に対する疑惑を招き、職場の規律秩序の維持に悪影響を与え、あるいは公衆電気通信事業という公共的職務に対する国民の信頼に動揺を与えるおそれのある言動は厳に慎まねばならないのであつて、公正、誠実な執務態度をもつて公共性の高度な職務に専念しているものと社会的評価を維持することこそが公社職員としての信用であり、また品位にほかならないと解せられる。他方公社もまた前記事業目的の公益性を常に念頭におき、正確かつ迅速に通信を取り扱い、国民から付託された信頼に応えなければならないのであつて、就中、大阪中電のごとく関西地方の電気通信網の中枢というべき局所においては、電気通信施設がその性質上設備の一部を麻痺させるだけで、容易に施設の全機能を麻痺させることができるものであることに鑑みても、局所内における職場秩序の紊乱行為によつて国民の利便を損い、あるいは損うおそれのある事態が万一にも発生しないよう十全の配慮をしなければならないのは当然であるといえよう。かかる観点からすると、公社が国民から付託された信頼に応えて保持しなければならない企業秩序は、単に公社の業務に直接的な影響を与える作業秩序にとどまらず、多数の職員の有機的結合関係の上に立つた作業体制の円滑な運営の維持をも含むといえる。

3  このように考えてくると、申請人が前認定のとおり「大阪中電マツセンスト」の一環として大阪中電の施設を占拠し、火炎びんを投下したことは、「局所内においてみだりに火器その他の危険物を所持、使用」し、また「局所内において風紀秩序を乱すような言動をした」ことになるのは勿論、公社「職員としての品位を傷つけ、また信用を失わせる非行」であつたと認めないわけにはいかない。

また、申請人が右行為によつて逮捕され、それが新聞等に報道されたことにより、その行為の暴力性が主義主張をこえて多数の国民のひんしゆくを買い、公社職員に対する一般の信用を損ねたであろうことも容易に推認できることである。さらに、申請人の右行為は、当時「大阪中電マツセンスト」に対処して施設の防衛措置を講じてきた被申請人に対しその施設および通信業務に対する現実的な危険を意識せしめ、あるいはまた「大阪中電マツセンスト」の思想、行動に同調しない公社職員との間にかなりの違和感を生じさせたであろうことも容易に推察できる。そうだとすれば、申請人は大阪中電の通信業務の運営に直接の支障を与えたものでないれけども、管理職員を含む多数の職員の可能なかぎりの有機的な結合関係の上に成立すべき公社の作業体制の円滑な運営に少なからず悪影響を与え、その結果、公社の職場秩序を乱したものと評価されてもやむを得ないところであろう。

4  以上検討してきたところによれば、申請人の行為は明らかに就業規則五九条七号、同条一八号(五条四項、八項)所定の懲戒事由に該当し、その情状極めて重いと認むべきものであるから、被申請人が申請人を懲戒免職処分に付したことはけだしやむを得ないところであり、本件懲戒免職処分をもつて裁量権を濫用したものとはいえない。

5  そうすると、本件懲戒免職処分は、その余の懲戒事由について判断するまでもなく、有効であるといわなければならない。

三  以上のとおりであるから、本件仮処分申請は被保全権利が認められないことに帰し、疎明に代えて保証を立てさせることも相当でないから、必要性についての判断を省略し、本件申請を却下することとし、申請費用の負担について民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 今中道信 藤田清臣 宮本定雄)

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